2006年10月2日9:30
ニケはギリシャ神話の勝利の女神。
ルーブル美術館にあるサモトラケのニケ像は、1863年にフランス領事シャルル・シャンポワーゾが、エーゲ海北東のサモトラケ島で発掘したもので、1884年からルーブル美術館ドゥノン翼2Fへと通じるダリュの階段の踊り場に展示されています。
サモトラケのニケは紀元前200年ごろの作品らしいですが、人に翼の生えた天使の原型は、このニケ像だというのが通説です。
レプリカなども人気なので、誰でも一度は見たことがあるでしょう。
今や世界的なスポーツ用品社NIKEのロゴマーク「スウィッシュ・ライン」も、ニケ=Nikeの翼をモチーフにしているというのは有名な逸話ですね。
Winged Victory
頭部と腕が欠けていることで、大きく広げた翼がより強調され、まさに勝利の女神にふさわしく、美しく精悍なフォルムです。
そして、その翼と体に纏った薄い衣服を見るだけで風を感じることのできるその姿は、彫刻とは思えない躍動感を感じさせます。
また、無駄な装飾を省いた壁、前左右の三方から風の流れを想起させる階段、神々しい太陽光を採り入れる高く開放感のある天井、そうしたニケを一層引き立たせるルーブルの演出も、まさに匠の技です。
サモトラケのニケの頭部と腕は、地中に埋もれた時点で既に失われていたのか、土の中で失われたのか定かではありません。
しかし、このサモトラケのニケ像を見るにつけ、私には現在の頭部と腕を失った状態こそが完成形であるように思えてなりません。
両腕を失い、首をもがれてもなお、天高く舞い上がろうとするニケの姿には、まさに勝利の女神たらんとする、勝利への強い意志を感じます。
ニケから頭部と腕を奪ったのが人間でないならば、それは神の意思なのでしょう。
そういう意味で、サモトラケのニケはまさに「神の芸術」と呼ぶべき作品だと思うのです。








