2007年11月10日22:00
私たちを乗せた高速バス「おけさ号」は、今まさにバスセンターを出発しようとしています。
硬くて眠れないと言われる深夜バスのシートですが、飛行機のエコノミーに比べれば十分に快適です。
乗り物ではほとんど眠れた試しのない私ですが、新潟を出発して京都駅前に到着するまでたかだか8時間。
函館旅行で新潟から青森まで片道480kmを10時間かけて一人で運転したことを思えば、座っているだけで目的地に着いてしまう深夜バスなど楽勝でしょう。
これからいくつかのPAやSAで休憩し、当地の名産品を物色したりして、楽しいバス旅行の始まりです。
そんな風に思っていた時期が私にもありました...。
時は遡って2007年の夏。
その頃、私たち夫婦は「ハケンの品格」のDVDを観たことがきっかけで、大泉洋の魅力に目覚めたところでした。
言うまでもなく、大泉洋を語る上で「水曜どうでしょう」を欠くことはできません。
それからというもの、私たちはニコニコ動画にうpされた「水曜どうでしょう」を、貪るように毎晩見続けました。
名物企画「サイコロの旅」で「キングオブ深夜バス・はかた号」を二度もお見舞いされ、次第に精神崩壊していく大泉さんとミスター。
そんな大泉さんの「バス芸人」ぶりに感化された我々にとって、新潟・京都間を8時間で結ぶ夜行バス「おけさ号」を選ぶことは、もはや必然でもありました。
ところで、深夜バスには積極的に選ぶだけの優れた利点もいくつかあります。
まずは、仕事が終わったその日のうちに深夜バスに乗れば、翌日の早朝には目的地に到着しています。
こうすると、移動時間がまるまる得になりますから、旅行先での限られた滞在時間を有効に利用することができるのです。
しかも、安い。
例えば、今回の新潟・京都間の大人一人の往復バス運賃は、わずかに15720円。
新潟から関西方面への交通アクセスはただでさえ不便なので、体力に自信があれば、これ以外の選択肢はないように思えます。
そして、私にとって大きいのは、タバコが吸えること。
もちろん、今の時代ですから車内は全席禁煙ですが、ところどころでトイレ休憩が入るので、その間に一服できるのです。
シートについてはどうせ眠れない私にとっては関係ありません。
車内で暇を潰すためのニンテンドーDSはフル充電完了済み。
妻は妻で、どんな場所でも眠れないことがない特殊能力を持っているので、これまたシートの硬さなど関係ありません。
そんなわけで、私たちにとって深夜バスは需要と供給が完璧に一致した交通手段なのです。
私たちを乗せた深夜バスは、新潟市内のあちこちの停留所を巡回し、いよいよ高速道路に入りました。
「このたびは阪急バスおけさ号をご利用いただき、誠にありがとうございます。」
車内アナウンスが入ります。
(はいはい、次の休憩地はどこですか?)
「このバスは、栄PAで休憩し、その後は車内消灯になりますので、明かりが必要な方は室内灯をご利用ください。」
(栄PAというと長岡の手前か。意外とすぐ休憩するんだね。)
「その後は草津PAで一度休憩し、京都・大阪の各停留所に順次運転してまいります。」
(......草津PAって滋賀じゃね?)
「栄PAから草津PAまでの間は、運転手交替のため停車しますが、一般のお客様は下車できませんので、車内トイレをご利用ください。」
( ゚д゚)ポカーン......
な・ん・で・す・と!?
栄PAから草津PAまでってことは、おそらく6時間くらい一切外に出れないってこと!?
「なお、車内は全席禁煙になっておりますので、お煙草はお控えください。」
死の宣告ですね、わかります。
こうして、計画段階では快適かつ完璧だったはずの深夜バスの旅は、一転してフランス旅行のデジャヴとなったのでした。
さすがは深夜バスおそるべし、侮ってはいけなかった...。
大泉さん、ミスター、今そこへ逝きます。
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