Home > 新潟歳時記 > ちょっとお気に入りの場所

ちょっとお気に入りの場所(この記事はシュクルが執筆したものです。)
誰にでも、ちょっとお気に入りの場所ってありますよね。
別に有名スポットとか、絶景というわけではなくても、そこから見える風景が好きだったり、そこにいると落ち着く気分になったり。
忙しい日々の中で、ほっとくつろげる場所。
普段は忘れていても、時々ふと行きたくなるような場所。
そこに行くと、自分の中のもやもやが浄化される場所。
今回は、そんな私のちょっとお気に入りの場所を紹介します。

オギノ公園私は昨年の6月に職場が変わって、今まであまり通ったことのない道を通ることになりました。
そこでふと見つけたのが、オギノ公園です。
新潟市の中央区、寄居町から下旭町までの通りは、その名も「オギノ通り」と言い、女性の排卵期の研究(いわゆる「オギノ式」)で有名な荻野久作博士の名を冠した通りです。
オギノ公園は、その通り沿いにあった博士の自宅跡に作られた公園です。
近くには県知事公邸や警察署、日本銀行などもあり、古町からも歩いてすぐのところです。
公園自体はとてもとても小さくて、ベンチと、人工池と、荻野博士の銅像があるだけです。
でも、私は一目見て、ここが気に入ってしまいました。
季節がちょうど良かったのでしょうが、バラの花がとてもとても綺麗なのです。
種類の違うバラがたくさん植えられていて、まるで小さなバラ園。

荻野久作博士像そして、ここにある荻野博士の銅像が、とてもとても好きなのです。
イスに腰掛けて、片手に煙草を持ち、首をちょっとかたむけて微笑んでいます。
とても穏やかで、優しい顔。
ここに来て、この荻野先生のお顔を見ると、とても癒されるのです。
私は、もちろん実際の荻野博士を拝見したことはありませんが、きっとこんなふうに優しく患者さんの話に耳をかたむけていたのでしょう。

荻野博士は、雪国の農家で労働力供給のため多産に苦しめられていた女性や、不妊に悩む女性のために、女性の排卵期について研究し、その成果を発表しました。
しかし、日本の学会からは認められず、後にドイツの学会誌で発表、オーストリアの学者の提唱により、「オギノ式」避妊法として使われることになります。
しかし、荻野博士は、オギノ式は避妊法としては不確実なものであり、安易に使うべきではない、むしろ不妊治療に役立ててほしいと思っていたそうです。

避妊に失敗して、人工流産の道を選ぶ心ない男女が多いことを一体どう考えたらいいのだろうか。どうしても言っておきたいことがある。それは世の男性諸君がもっと真剣に深刻に子どもとは何であるかを考えるようになって欲しいということである。
かつて私は荻野学説を発表した。しかし、それは、命を守るために生み出した学説であって、決して避妊法の研究ではなかった。
「オギノ式乱用者に告ぐ」文藝春秋昭和39年2月より抜粋

難しいお産を切り抜けたとき、まだ人間の態をなしていないような赤ん坊が手足をばたつかせて『オギャア』と第一声を放つその瞬間ほど、心を解き放してくれるものはない。この道を歩みはじめて六十年、私はもう八十歳を越えているが、それでも病院でこの『オギャア』を耳にするたびに、朗らかな気分になる。おそらくは、生命の誕生というものが持つ犯しがたい価値に由来するのであろう。
「オギノ式乱用者に告ぐ」文藝春秋昭和39年2月より抜粋

次の休日にでもオギノ公園に行こうと思いますこういった荻野博士の文章を読むと、本当に女性に対して、命に対して、あたたかいまなざしを持っていた方なのだと感じます。
私自身、以前は、「オギノ式」は単なる避妊法だという程度の認識で、高校時代に「オギノ通り」があることを知った時も、「え~。なんか恥ずかしい名前」と思っていました。
荻野先生、ごめんなさい。
私は今、新潟にこんなすばらしい方がいらっしゃったことを、ありがたく思います。
そして、この「オギノ通り」と「オギノ公園」があることを、誇らしく思います。
私は、この4月からまた職場が変わり、通勤途中でオギノ公園に寄ることは出来なくなってしまいました。
これからの季節、きっとまた美しくバラが咲き誇るでしょう。
次の休日にでも、久しぶりに荻野先生に会いに、オギノ公園に行こうと思います。

Comments:2

PUYOKO 2009年5月28日 18:10

シュクルさん

オギノ式の博士って新潟の方だったのね?
知らなかったわ。
おっしゃるようにオギノ式って言葉には、うら若き乙女が
口にしていいものやらどうやらっていう、昭和な恥じらいがあるわね。

今となっては「コンドーム!」とか「排卵!」とか「基礎体温!」とか
ガンガン言っちゃうけど(笑)

避妊のためだけでなく、明るい家族計画のための暖かくて
お優しい研究だったと知って、ちょっと反省だわ。

シュクル 2009年5月28日 21:37

PUYOKOさん、コメントありがとうございます。

荻野博士は、出身は愛知県なんですが、東京帝大を卒業なさって、産婦人科医として新潟にいらっしゃったのだそうです。
新潟の名誉市民の称号を受けてらっしゃいますが、それも当然ですね。

ほんとに、昭和の高校時代、「オギノ通り」の名前には恥ずかしいものがありましたね。笑。
けして他県の人には自慢できない(というより、知られたくない)と思ってました。

そんな無知な自分を猛反省です。

Comment Form

コメントは管理人の承認後に公開されます。

Trackbacks:0

TrackBack URL for this entry
http://www.searchlight-jp.com/mt/mt-tb.cgi/359
Listed below are links to weblogs that reference
ちょっとお気に入りの場所 from ゆめのりょけん

Twitter Comments

Home > 新潟歳時記 > ちょっとお気に入りの場所

タグクラウド

あわせて

このページのトップへ↑