Home / 関東旅行記 / 田母沢御用邸で皇室の歴史にふれる

Aug
05
2011

日光田母沢御用邸東照宮から徒歩10分ほどのところに、大正天皇の皇太子時代の静養所であった田母沢御用邸があります。
明治天皇・大正天皇がご利用になり、今上陛下も疎開のため一時滞在なさっていました。
戦後、御用邸が廃止され、現在は栃木県の所有となり、本邸と庭園を含めた12,000坪の土地が、日光田母沢御用邸記念公園として公開されています。
東照宮と二荒山神社に参拝し、江戸幕府と古代神話という歴史を感じた後は、日本の歴史を貫くもうひとつの大きな柱、御皇室の歴史の一端を味わいに行ってきました。

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田母沢御用邸は建築の集合体

複雑な集合体です田母沢日光御用邸は、明治32年に造営され、その後、大正7年から9年にかけて大規模な増改築が行なわれ、現在の姿になりました。
明治・大正期に造営された御用邸の中で最大規模の木造建築で、建築面積1,360坪、部屋数は106室あります。
この建物がおもしろいのは、元は別々の建物だったものをいくつか移築し、さらに新築・増築をして、それらをつなげてひとつづきにしていることです。
別棟を廊下でつなげるのではなく、屋根も完全につなげて一個の建物となっているのです。
そのため、ひとつの建物の中に、明治・大正・昭和の三時代に渡る、数奇屋風書院、宮廷風、和洋折衷風など、さまざまな建築様式が混在しているのが特徴です。

元・紀州徳川家江戸中屋敷

御座所この御用邸の中核となっているのは、紀州徳川家江戸中屋敷を移築した部分です。
大部分が平屋の中で、ここは三階建てになっていて、天皇の御座所、御学問所、劔璽の間、御寝室、御日拝所、御展望室として使われました。
要するに、主に天皇陛下がお使いになっていた部分です。
江戸時代の建物ですが、床にじゅうたんを敷き、シャンデリアのある和洋折衷の部屋がいくつかあります。
天皇陛下の部屋というと、つい魔界の宮殿のような絢爛豪華キンキラキンを想像しますが、実に簡素。
部屋だけ見ていると、新潟の実業家の別荘・斎藤家別邸や、豪農の館・伊藤家邸宅と雰囲気が似ています。

劔璽の間

劔璽の間しかし、それらの館と違い、ここが皇室の御用邸であったことを示すのが、劔璽の間(けんじのま)です。
劔璽の間とは、皇位の印である八咫鏡(やたのかがみ)、八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま) 、天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)のうち、剣と勾玉を奉安する場所。
劔璽というのが剣と勾玉のことで、普段は御所にありますが、かつては天皇の一泊以上の行幸には侍従が捧げ持ち随行する習わしで、この御用邸には長期滞在なさったのでこの間があります。
一段高くなった畳の上に、さらに厚い畳が置かれ、ここが特別な空間であることがわかります。

元・小林家別邸

元・小林家別邸この御用邸のもともとの敷地内に、日光出身の実業家・小林年保が明治中期に建設した二階建ての別邸があり、御用邸の一部となりました。
皇后御寝室、御学問所などに使用されたそうです。
今上陛下が疎開時にお過ごしになっていた場所でもあります。
お部屋にじゅうたんは無く畳敷きで、天皇陛下の簡素なお部屋にもまして、さらに簡素。
びっくりするくらい、何もありません。
装飾品といえば、かわいらしいシャンデリアくらいでしょうか。
このような質素な生活を心がけていらっしゃったのかと思うと、思わず拝みたくなってしまいました。

錺金物に注目

錺金物錺金物(かざりかなもの)とは、建物の装飾に使われる金物こと。
この御用邸では、長押の釘隠しや襖の引き手などに使われています。
これが、それぞれに意匠を凝らした細工になっていて、とても美しい装飾になっています。
室内側と廊下側で造りが異なり、室内側の方が質の高いものが使われているそうです。
なるほど、簡素な中に、こういう手の込んだ細工を施してあるのですね。

畳縁も特別

畳縁畳縁(たたみべり)も、御用邸ならではの特別なものです。
天皇のお部屋は、絹と綿で織った小紋縁(しょうもんべり)と呼ばれるもので、白っぽい地に紺の紋が入っています。
皇后のお部屋は、緑色一色の縁ですが、これは和装で過ごされる皇后様の衣擦れに配慮して、絹製。
劔璽の間の厚畳は、繧繝縁(うんげんべり)という最も格式の高い畳縁が使われています。
繧繝縁(うんげんべり)は、天皇・上皇・三皇(皇后・皇太后・太皇太后)が用いるもので、奈良時代から続く彩色法で作られているそうです。
派手な装飾は無くても、こういうところはさりげなく手が込んでいるんですね。

豪華な杉戸絵

杉戸絵"天皇のお住まいだったエリアには、杉の板がそのまま戸になっているところがあり、その杉戸の上に紙を貼らずに直接絵を描いているのが杉戸絵です。
紀州徳川家江戸屋敷にあったもので、紀州藩お抱えの絵師だけでなく、狩野派など幕府御用達の絵師たちの手によって描かれています。
杉戸絵というのを見たのは初めてなんですが、木目模様の上に描かれた絵は、白地よりも立体感があるようで、動きがよりダイナミックに感じました。

風雅な回遊式庭園

回遊式庭園この御用邸は、まわりをたくさんの緑で囲まれているのですが、建物の南側には、回遊式日本庭園があります。
松、紅葉、しだれ桜などの木々、流れる小川、積もる落ち葉。
ここだけ静寂に包まれて時間がゆっくり流れていくようです。
木造の日本家屋と調和の取れた庭のたたずまいは、米沢の上杉伯爵邸や、新潟の斎藤邸を彷彿とさせます。
眺めるだけでなく散策もできるので、庭から御用邸を眺めるのもいいですよ。

皇室チックな土産物

御用邸チョコレートこうして、御用邸の見学は終了。
中では、御皇室についてのビデオ上映があったり、びしっとロングコートを着て手袋をした監視員の方がいたり、やはりそのへんは皇室ゆかりの場所なのだなと感じます。
ちなみに、監視員の方はとても紳士的かつ親切で、御用邸についていろいろ説明してくださいました。
土産物売り場にも、皇室関連のグッズがいろいろあり、皇室ファンの心をくすぐります。
そんな中、選んだのは、菊の御紋チョコ入りの「御用邸チョコレート」。
12粒入り1,050円で、ありがたい気分を味わいましょう。

日光の隠れた名所

日光田母沢御用邸は、簡素な中に品格を感じさせるところでした。
京都御所にちょっと似ているかもしれません。
日光に来たら、ぜひ行ってほしい場所です。
庭と御用邸のたたずまいを見るだけでも行く価値はあります。
さらに、皇室ファン(=シュクル)なら見どころいっぱいですし、日本家屋に興味がある人(=サーチライト父)なら、日本の建築技術の粋を見ることができて面白いと思います。
どちらでもない人(=サーチライト)は、かばかりと心得て帰りにけるって感じだそうです。笑。

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