しばらく間が空きましたが、高野山旅行記の続きです。
伊賀に続いてやってきたのは、ゆめのりょけん初登場の奈良。
となれば美味しい奈良グルメをレポートしたいと思うのは、旅行記ブロガーとしては当然のことでしょう。
しかし、文豪・志賀直哉が評したように、「奈良にうまいものなし」というのが奈良グルメの定説。
実際、奈良から遠く離れた新潟県民の私たちには、ぱっと奈良名物は思いつきません。
そこに救いの手を差し伸べてくれたのが、シュクルの知人・志賀先生。
奈良が大好きで毎年訪れるという志賀先生が教えてくれたとっておき「そうめん処森正」に行ってみました。
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大神神社と三輪そうめん
大和の国一之宮は、奈良県桜井市三輪にある、大神神社(おおみわじんじゃ)。
大神神社に向かって車を走らせていると、「三輪そうめんの町」という看板があるくらい、このあたりはそうめんの本場です。
そもそも「三輪そうめん」は、今から約1300年前、大神神社の12代宮司が、そうめんの原型を作ったと言われていて、乾燥させて保存食として飢餓の人々を救ったのだそうです。
まさに、そうめんのルーツの地なんですね。
そうめん処森正
「そうめん処森正」は、そんな「元祖そうめん」を作り出した大神神社の二ノ鳥居に向かって左側にあります。
大神神社は、日本最古の神社と言われていて、かつての都・奈良の一之宮だけあって、二ノ鳥居も木造の堂々とした構え。
その立派な鳥居のほとんど目の前と言っていいくらい近くに「森正」はあります。
麻ののれんがかかった風格のある門は、 近松門左衛門の名作「冥途の飛脚」の中で、梅川・忠兵衛の二人が逃げて行く途中で立ち寄った「竹田屋」という旅館の門を移築したものだそうで、隠れた文学散歩スポットです。
素朴な庭のテラス席
門を入ると、そこは庭のようになっていて、木のテーブルとイスが数個。
屋根がわりの簾が涼しげで、和風のテラス席といった趣です。
待たずに座れましたが、一組帰ったと思ったらすぐにまたお客さんが入るといった具合で、次から次へとお客さんがひっきりなしに訪れていました。
さすが、元祖三輪そうめんのお店ですね。
奈良で一番と噂の「柿の葉寿司」
本命のそうめんの前に、「柿の葉寿司」をいただきます。
「柿の葉寿司」は、鯖の押し寿司を柿の葉で包んである、奈良や和歌山、石川の郷土料理。
ここの柿の葉寿司は、奈良で一番と言われるほど有名なので、ぜひとも味わってみたいと思っていました。
ひとつひとつは小ぶりで、一口か二口でぱくっと食べられます。
柿の葉の香りが鼻からふわっと抜けて、鯖の旨みと酢飯のやわらかい甘さが口に広がって、とっても美味しい。
思っていた以上にマイルドなので、酢のツンとする感じが苦手な男の人でも、富山の「ますのおすし」や福井の「焼き鯖ずし」が好きな人なら、きっと気に入ります。
最初は敬遠していたドールマスター氏も、サーチライトの評価を聞いて食べてみたら、「これはうまい!」と評価を一変。
3人で1皿(5個)で十分と思っていたけど、1人1皿でもよかったです。
いろんな「三輪そうめん」を食べてみる
柿の葉寿司を味わった後は、メインのそうめんです。
せっかくなので、いろいろな三輪そうめんを食べてみることにしました。
まずは定番の「冷やしそうめん」。
海老、卵、椎茸がトッピングされたそうめんは、細くてつややかな輝きを放っています。
上品なダシとともに、つるつるとした麺の食感が気持ちよくて、1皿ではちょっと物足りないくらい。
温かい「にうめん」も注文。
三つ葉、しめじ、天かすが入ったシンプルな一品です。
こちらもつゆがすごく上品で、天かすが入っていても軽い感じ。
そうめん自体がつるつる美味しくて、薄味ながらダシの効いたつゆも旨みがあって、ひとくちひとくち味わいながら食べました。
肌寒い季節に食べたら最高ですね。
ちょっと珍しい「釜揚げ太そうめん」。
うどんより細くて、そうめんより太い、珍しい麺です。
まさに釜揚げうどんのそうめん版という感じですが、うどんよりも麺が細いせいか、もっと繊細で優しい味わいです。
つるつるな食感は、うどんよりもやっぱりそうめん。
麺の美味しさを味わえる一品でした。
「わらびもち」はうっかり忘れてた
そうめん三種類を味わったあとは、デザートへ。
なぜか、季節はずれのイチジクを発見。
イチジク大好きのシュクルは、「絶対、こんな季節にイチジクなんておかしい」と怪しみながら、「いや待てよ、日本最古の神社がある場所なんだから、神様の霊力でイチジクがあってもおかしくない」とかメチャクチャな論理で自分の欲望を正当化。
結局、イチジクを注文することにしました。
出てきたのは、季節はずれと思えないほど身がしっかりしたイチジク。
しかも、パサつきがなくて、ジューシーで柔らかい。
ん~、美味しいイチジクを久しぶりに食べた。
満足満足...って思ってたら、わらびもちを食べるのを忘れてしまいました。
せっかく吉野葛の本場なのに...orz。
次に言ったら絶対食べよう。
おみやげには「ふりかけ」がおすすめ
ここで忘れてはいけないのが、お土産。
森正さんの店内には、野菜や果物など地元の食品が売っています。
その中で、奈良通の志賀先生が「絶対買った方がいいですよ」とすすめてくれたのが、「ふりかけ」。
そうめんのダシをとるのに使ったカツオブシや昆布で作った完全無添加手作りのふりかけが売られているのです。
小分けの袋に入って一袋100円なので、バラマキ土産にもぴったり。
シュクルはお店に出ていた10袋全部を買いました。
見た目は腐葉土みたいですが、「日本最古の神社の前にある有名なそうめん屋さんの自家製ふりかけなんです」と言って両親や職場の人にあげたら、ものすごくありがたがられました。
コスパ最高のお土産です。笑。
お味の方は、子どものころ食べたような懐かしい甘い味。
昆布入りと昆布なしがあって、どちらも美味しい。
お店の人に聞いたら、保存料は入ってないので、2週間くらいを目安に食べてくださいということでした。
まあ、美味しくて毎日ごはんにふりかけて食べていたので、あっという間になくなりましたけどね。笑。
「奈良にうまいものなし」はデマと判明
そんなわけで、我らが志賀先生のおかげで、あまり期待していなかった奈良グルメは、大満足の結果になりました。
なんだよ、志賀直哉。
「奈良にうまいものなし」なんて、デマじゃないか。
...と思ってよくよく調べてみると、この言葉は1938年に書かれた随筆「奈良」が由来のようです。
この随筆は、奈良に13年間住んでいた志賀直哉が、東京へ戻るときに奈良への愛着を綴ったもの。
読んでみると、古都・奈良の自然の美しさや歴史の奥深さを書いた中で、「食ひものはうまい物のない所だ」という一文が一人歩きしたみたいです。
その後には、牛肉とか蕨粉とか豆腐とか、奈良のおすすめグルメがちゃんと書いてあり、別に奈良の食べ物を悪く言うつもりはなかったようですね。
なーんだ、純文学者特有のツンデレか。笑。
それに、当時と現代とでは、グルメに対する価値観も違いますしね。
そんなわけで、奈良グルメに対する誤解もとけたところで、目の前にある大神神社に向かいます。
奈良のたからもの―まほろばの美ガイド | |
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