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Mar
12
2015

第40期棋王戦第3局を大盤解説会で観戦

先日の3月8日、柏崎市の旅館「岬ひとひら」で行なわれた第40期棋王戦第3局の現地大盤解説に行ってきました。
第40期棋王戦の対局者は、渡辺明棋王(王将)と羽生善治名人(王位・王座・棋聖)。
将棋界を代表する2人によるタイトル戦、さらに日曜日ということもあって、大盤解説会は超満員。
対局も終盤までもつれる熱戦で、プロの将棋の醍醐味を味わってきました。

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鯨波海岸・番神岬「岬ひとひら」

今回の対局場は、柏崎鯨波海岸の番神岬にある「岬ひとひら」。
創業135年を超える老舗旅館で、日本海を見下ろす高台にあり、柏崎海上花火大会が行なわれる海岸のすぐ近くです。

岬ひとひら

現地大盤解説会は6Fのコンベンションホール「華岬」で行なわれ、入場は無料。
対局開始は9:00、大盤解説会は11:00からということで、10:30に会場に到着したのですが、200席用意されたという観戦席はすでに残りわずかで、もう少しのんびりしていたら危ないところでした。

県内アマ強豪による解説中

大盤解説会に参加するのは、2013年に南魚沼市で行われた第61期王将戦第4局から1年半ぶりです。
本当は2014年の第85期棋聖戦第4局が新潟市岩室温泉で行なわれる予定だったので、現地観戦に行くつもりでいたら、羽生棋聖が3-0で防衛して、第4局そのものが消滅するという誤算もありました。
今回はせっかくの羽生VS渡辺ということもあり、父も誘って一緒に観戦してきました。

関連記事 南魚沼「龍言」で観戦した王座戦の将棋が凄すぎた

現地大盤解説会の様子

棋王戦は、将棋の7大公式タイトル戦(竜王・名人・王位・王座・棋王・王将・棋聖)のひとつで、例年2月から3月にかけて棋王と挑戦者が5番勝負(3勝先取)を行います。
ここまでは「冬将軍」渡辺明棋王が第1局・第2局を連勝し、ストレート防衛に王手をかけています。
しかし、対する羽生善治名人はタイトル戦でストレート負けを喫したことが2度しかなく、さらに挑戦者としてストレート負けをしたことは一度もないとか。
羽生ファンのサーチライトとしては、もちろん羽生名人が一矢報いることを期待してやってきました。

大盤解説会スタート

11:00になって大盤解説会のスタートです。
会場はすでに空席がなくなり、立ち見客が出るほどの大盛況ぶり。
これだけ人が集まると会場の熱気がすごいので、大盤解説には扇子を一本持っていくと重宝します。
この日の解説は豊川孝弘七段で、聞き手は鈴木環那女流二段でした。
豊川七段は軽快なオヤジギャグが得意な人気解説者。
この日も「同飛車大学」「青野とるいち」などの定番ダジャレはもちろん、「ほぼブラジル」などの新手も披露し、会場の笑いを誘います。
一方、鈴木女流二段も仕切りには定評のある聞き手。
ときおり鋭いツッコミも入れつつ、手の解説と余談を織り交ぜて、大盤解説会はスムーズに進行します。

この日は青野照市九段本人も会場入りしていました

さて、この日の対局は、先手が渡辺棋王、後手が羽生名人です。
戦形は「角換わり腰掛銀」。
プロのタイトル戦では王道ともいえる戦形で、難解な将棋になりやすく、両者ともに得意とする戦法です。
棋王戦の持ち時間は4時間とタイトル戦の中では短めで、もともと渡辺棋王は序盤で時間を使わない棋士ということもあって、午前中は長考もなくサクサクと駒組みが進みました。

昼食休憩で「次の一手」

50手目、羽生名人が△7五歩と指して前例を外れたところで、渡辺棋王が26分を使ってそのまま昼食休憩。
この次の渡辺棋王の手が「次の一手」クイズの問題になりました。
正解者には今回の対局者や解説者の直筆色紙がもらえるということもあって、予想に力が入ります。

「次の一手」クイズの局面

豊川七段の予想手は「▲7五同歩」「▲2四歩」「▲3五歩」あたり。
▲7五同歩は自然な手ですが、玉の守りの形が乱れるのが少し嫌なところ。
一方の▲2四歩や▲3五歩は攻め合いの手。
26分の時間を使ったということもあり、それほど単純な手ではないだろうと予想して、答案は「▲2四歩」としました。

昼食はラーメン(500円)

13:00を回って対局再開。
再開が告げられると、渡辺棋王はすぐに「▲7五同角」と指しました。
これは解説では次の△3七角から馬ができるのが嫌だと言われていた手。
その通り、羽生名人は△3七角と打って、▲4九飛から△2八角成。
ただ、次の▲6六角がおそらく渡辺棋王の狙いの一手。
「どこかに馬ができても6六角から玉を睨む形のほうに価値がある」という主張のようです。
次の一手クイズの正解者は5名。
我が家の激指10の読み筋では▲7五同角は次善手だったようですから、強い人にはサービス問題だったのかもしれません。

先手優勢に傾く

午後からは、立会人の藤井猛九段も大盤解説に登場。
こちらもトーク力が絶品チーズバーガーの人気棋士。
対局は中盤の難しい局面に入って手がなかなか進まない中、羽生名人の「絶対に許さないリスト」に入ってしまった頓死事件、親友の三浦九段との思い出話、奨励会時代の豊川少年とのエピソードなどで、会場を盛り上げてくれました。

立会人の藤井九段も登場

対局の方は、渡辺棋王が徐々にリードを広げていく中盤戦。
とにかく6六にいる角のラインが絶好で、▲3三桂成からの攻めが見えるので、羽生名人の銀は動くに動けず、さらに▲4七金と援軍を送って、▲4六金から▲3五金の攻めを見せつつ、ゆっくり後手陣を攻め潰しにかかります。
一方の羽生名人からはなかなか有効な攻めが見つからない展開。
こうなると、次の一手の▲7五同角から▲6六角の構想は、正鵠を射ていたように思います。

先手変調?

今回の棋王戦では、新潟市中央区の「新潟日報メディアシップ」でも大盤解説会がありました。
そちらは現地大盤解説会の様子を、220インチの大型ビジョンでライブ中継するというもの。
そんなわけで、現地大盤解説会も16:00からメディアシップ向けに仕切り直し、初手からの解説です。

83手目▲5八桂で形勢は不明に

初手からの解説が終わる頃、渡辺棋王が2筋に飛車を回り、▲2四飛から▲2二飛成としたところで、形勢はほぼ先手有利に。
これは△4一玉の一手ですが、次は▲6四桂で詰めろか、▲5六歩と銀を取るか、▲4四角からの攻めも強烈と検討していたところ、意外にも着手は「▲5八桂」。
局後の感想によれば、▲6四桂や▲5六歩からそのまま寄せ切る自信はなかったということですが、渡辺棋王には何か嫌な筋が見えていたのか?
結果的に、この▲5八桂で形勢は互角まで戻り、依然として先手がややリードしているものの、後手にも少しチャンスが出てきました。

終盤の斬り合い

お互い残り時間も少なくなり、ここからは息詰まる終盤戦。
90手目△1二金で先手龍を捕獲し、▲5七歩に△6六馬と踏み込んで、▲1二龍に△6七馬としたところでは後手逆転かと思われたものの、ここは▲5六銀が最強の受けで、ひとまず仕切り直し。
そして、勝敗の分かれ目は97手目の▲5二歩。
この手に対して△7八銀なら明確に後手逆転だったとか。

97手目▲5二歩に対する一手が勝敗の岐路

実戦では△5六馬と進み、以下▲3一金から△5二玉に▲3二龍。
これでも△6一玉とかわし、これまでずっとニートだった後手の9二飛が受けに効いて耐えていると思われたのですが...。

102手目△6一玉まで

103手目の▲8二香が会場騒然の一手。
この手をゲストの遠山雄亮五段が発見したところで、現地大盤解説会でも先手勝ちが明確になりました。
こうして、107手目の▲8二同龍を見て羽生善治名人が投了。
渡辺明棋王が3-0のストレートでタイトルを防衛しました。

対局後

これまでの大盤解説会では、ここで帰宅ということになるわけですが、今回は終局後に両対局者が登場するという嬉しいファンサービスもありました。
渡辺明二冠は前に中山競馬場で見かけたことがあるのですが(当時は竜王)、現地観戦3回目にして初めての「生ハブ」です。

渡辺明棋王

羽生善治名人

応援していた羽生名人が負けてしまったのは残念でしたが、これならわざわざ柏崎まで出かけた甲斐がありました。
終盤の白熱した斬り合いは父も満足したようですし、たいへん有意義な休日だったと思います。

将棋ブームは本物かもしれない

結局、この日の現地大盤解説会には、500人近い来場者があったそうです。
しかも、一昔前とは明らかに客層が変わっています。
例えば、2008年に名人戦の天童対局を観戦した時は、周りはほとんど高齢者、20~40代の人も休憩時間にロビーで早指しをしているようなコアな将棋ファンばかりでしたが、今回はむしろ中年層が中心で、女性ファンや小学生くらいの将棋ファンもたくさん見られました。
もちろん、今回は人気棋士たちが勢ぞろいしたのも大きいのでしょうが、タイトル戦がニコニコ動画で気軽に見られるようになり、さらに日曜日だったというのが一番の理由でしょう。
これだけ人が集まるなら、対局場の都合はとにかく、土日にタイトル戦を行なう意義は大きいと思います。
特に小学生や中学生は平日のタイトル戦では観戦できないので、普及を考えたら1日制のタイトル戦はすべて日曜開催くらいでもいいのではないかと。

以前、渡辺明二冠が「野球やサッカーを観るように将棋も無責任で楽しんでほしい」と語っていたのを目にしたことがありますが、今まさにそういう状況になりつつあります。
実際、将棋のルールを知っていて、3~5手詰くらいの詰将棋が解けるくらいなら、大盤解説会は十分に楽しめます。
せっかく将棋のタイトル戦は全国を回っているのですから、近くで対局がある時は、ぜひ足を運んでみてはどうでしょうか。
新潟県内なら、3月12日・13日に佐渡で王将戦もありますよ。

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